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最近眠気がひどくてすっきりしない気持ちをエドリディにぶつけてみた。
実際エドガーはどこまで自制できるのかしらー。私が思ってるほどエドガーは寛容ではないと知ったので、このエドガーはなんか偽物くさいです(´ワ`*)


+++


 夜のきみは僕だけのもの。

 子供の前でさえそう言って憚らないエドガーは、その言葉に忠実に、今日も寝台の上でリディアにキスの雨を降らせていた。

 まだ結婚して間もないころは紳士たちの社交で夜中過ぎても帰ってこない日がたびたびあったものだが、アルヴィンが生まれてからはそういった外出の頻度がぐんと低くなった気がする。

 エドガーなりに父親らしくあろうとしているのだろうかと思っていたが、「夜しかまともに奥さまと接する機会がないからですよ」とケリーに言われてしまった。

 そもそも上流階級の貴族は子どもの世話を乳母に任せ、自分で世話をすることは少ないらしい。だから、夜に家にいようがいまいが父親らしさにはつながらない。

そのあたりの感覚はリディアにはわからないから、用事がないときはできる限りアルヴィンの面倒を見るようにしている。エドガーも時間があるときは顔を出してくれ、親子三人の時間を持つことも多い。

 リディアにとっては幸せで楽しい時間なのだが、エドガーからしたら物足りなかったのだろうか。

 でも、ここ数日は社交が忙しくてまともにアルヴィンと過ごせていない。

昨日、初めてアルヴィンが寝返りをしたと乳母から聞いた。公爵夫人として社交界に顔を出すのは大切な義務だが、毎日成長していく彼の姿を見逃してしまうことがなんだかとっても勿体ない気がしてしまう。

気だるさがどうしても振り払えずに、リディアはエドガーの唇が離れたわずかな隙に顔を背けて息をついた。

彼女の反応が緩慢なのには気づいていたのだろう。エドガーはそっと身を離すと、頬にかかった柔らかな髪を払い、こつんと額を合わせてくる。

「今日は、気分じゃない?」

 気分じゃない、というのがどういう気分のことなのかがわからない。頬を上気させたまま困った顔をすると、目元に柔らかく唇が触れた。

「疲れちゃった?」

「そう、なのかしら……」

 あやふやな気持ちのまま呟くと、覆いかぶさっていたエドガーが体をずらし、リディアに腕を回したまま隣に寝転んだ。

 抱き込まれて寄り添うとほっとする。けれど、うなじをなぞる指先に感じるのは、色めいた熱よりも気だるさだ。いつもならぞくりと背筋が粟立つのに、気恥ずかしさは感じてもそれだけだ。

 気分じゃない、って。こういうことなのかしら。

 ぼんやりと思いながら瞼を下す。「別々で寝たほうがいい?」と囁かれて、ぱちりと目を開いた。

 至近距離で覗き込んでくる綺麗な灰紫を見ながらぱちぱちと瞬きをして、ふと眉を下げる。

「そ、そうよね。その方があなたもゆっくり寝れる……」

「僕はきみの傍のほうがよく寝れるけど」

 リディアは? と尋ねられて困ってしまう。

 ただ寄り添いながら眠りたいと言ってもいいのだろうか。

「なにか難しいこと考えてる? じゃあね、二択にしよう。僕は傍にいた方がいい? いない方がいい?」

「いてほしいわ」

「じゃあ決まり」

 にこりと笑って、エドガーが仰向けに転がった。リディアが枕にしている腕はそのままだが、もう一方の覆いかぶさっていた腕がなくなって、なくなった重さの分だけ呼吸がどこか楽になる。

「……なにもしなくても、いいの?」

「うーん」

 ちらりとこちらを見下ろして、エドガーが柔らかく苦笑する。

「本当はね、きみが疲れてることに気づいてたんだ。気づかないふりしてすすめちゃおうかと思ったけど、やっぱりやめておく」

「あたし、我慢させてる?」

 不安になって問いかけると、彼はちょっと考えるような間を置いた後で、なぜだか人の悪い笑みを浮かべた。

「僕は、きみが気持ちよがってるのを見るのが好きなんだ」

「……」

「もちろん熱とか感触とかをダイレクトに感じて興奮するっていうのはあるけど、それよりも僕が触れたときのきみの声とか表情とか匂いとか」

「ちょっと、黙って、ちょうだい!」

 べしんと手のひらをエドガーの顔面に当てる。カッカしてるリディアにくすくすと笑って、エドガーは視界をふさがれたまま手探りでリディアの頭をなでてくる。

 その手つきが優しくて、やっぱりエドガーは上手だわと思う。

 息をついて身を乗り出し、にやけている彼の頬にキスをした。

「おやすみなさい、エドガー」

「え、もう?」

「おやすみなさい」

 断固として言い切ると、そっか、と残念そうなため息が聞こえた。

 やっぱり我慢させているのかもしれない。けれどエドガーだったら彼女の甘えを受け止めてくれるとわかるから、リディアは口元を緩めて深く静かに呼吸をした。

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