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オリンポスのセツナの一人語り。アイリーンとアウルの姉弟もちらっと出てきます。
うまくまとまらなかった…!
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彼を亡くしてから、何度もくり返し見ている夢があった。
夢の中で出会う少女の顔は見えない。
ただ、ひらひらと舞う花弁の中、スカートをはためかせてステップを踏む彼女は、いつもとても楽しそうに笑っていた。
成長し、再び出会った時、自分は彼女を忘れていた。
夢に出てくる少女の顔は相変わらず見えないままで、けれど、側近くで笑う彼女の存在は、ひどく胸をざわめかせた。
実を結ぶ前に自ら潰した恋の芽が、性懲りもなく花を咲かそうともがいていたのかも知れない。
なんという傲慢か。
「―――姉さんに関わるな!」
存在を忘れてしまった彼女と、自分が殺してしまった彼と、同じ金茶の髪を持つ少年が、燃えるような目で睨みつけてくる。
姉さん、と訝しげに呟くセツナに気づいた様子もなく、直情的な少年は怒りと嫌悪を隠そうともせず、彼に向かって吼え立てる。
言葉を聞き流しながら、少年の容色にまじまじと見入る。
エクトとよく似た目の前の少年。けれど他の誰かにも似ている。
こんなふうに怒らずに笑っている様子を見たことはないけれど。けれど、目尻を下げて、口角を上げて、微笑んだなら、この顔は。
「……アウル?」
「姉さん!」
アイリーンのそれと、瓜二つになるのではないだろうか。
状況を理解すると、今まで欠片も思い出すことのなかった記憶が次から次へと溢れてきた。
幸せだったはずの暖かな記憶が、つぶてとなり、刃となり、セツナの胸を抉っていく。
罪を負うとはこういうことかと、セツナは飛び起きたベッドの上で荒い息をつく。
夢は相変わらず優しい。夢の中の少女は今ではその顔をさらし、懐かしい、慕わしい笑顔そのままでセツナの名を嬉しそうに呼ぶ。
切なくて、泣きたくなる。
乾いたままの瞳を隠し、セツナは大きく息をついた。
夜明けは遠い。夜の深い闇の中に、このまま消えてしまいたいと、ぼんやり思った。
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