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伯爵と妖精、オリジナルなど。コメント等ありましたらお気軽にどうぞv 対象年齢はなんとなく中学生以上となっております(´v`*)
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たいへんに遅ればせながら、明けましておめでとうございます(´ワ`)
昨年は大変お世話になりました…! サイトが消失し、なんの告知も出せないままに当方ブログに移転(?)したにも関わらず、閲覧してくださっている方々には本当にありがとうございます。
今年も昨年同様の亀更新になるかとは思いますが、気が向いた時にふらりとお立ち寄りいただければ幸いです^^*

3月の春コミ(東京)にサークル参加しようと目論んでおります!
新刊を出せるようにぼちぼち頑張ります><
モニターのお返事をくださった方々、どうもありがとうございました! お礼をどうしようかと考え中……の前に、お返事ができて折らず申し訳ありません。。
年始のバタバタもそろそろ落ち着いて参りましたので、来週中にはお返事書かせていただくつもりでおります。

さて、以下は久々に「えせ兄妹」パロのエドリディです。リディアが12~4歳くらいのイメージで。
実家に帰って久々に自分が書いた長編を読み返してみました。よう書いたなあとしみじみ思います←


+++



 気をつけて行ってきてね、と送り出すリディアの笑顔は、いつもどこか無理をしている。
 エドガーは、ロンドンからスコットランドへと戻る道すがら、出かける前夜に見た「妹」の顔を思い描いた。



 自分のことを「兄さま」と呼ぶようになってからは、傍目にもわかるほどリディアは自分にべったりだ。
 どうしてそんなに懐いてくれるんだろうと不思議に思うほど、リディアはエドガーの姿を見つけては、とたとたと軽い足取りで駆けてくる。
 それはリディアが幼い子どもから少女へと成長し、エドガーが彼女を異性として大切に思うようになった現在でも変わらない。
 もっとも、当のリディアには自分が「女の子」である自覚がほとんどないようだが。
「まあ、いいんだけどね。今はまだ」
 呟いて、手元にある包みに目をやった。
 大切な少女が、同時に大切な妹であることは、今のところ葛藤をもたらすようなことではない。
 むしろ、彼女が自分を大好きな兄だと思ってくれていることは、彼にとってこの上ない幸福なのだ。
 リディアが自分を男としてみる時は、いつか自然と訪れるだろうと思う。現状のポジションに不満はない。
「エドガー、軽く食べれるものを買ってきたよ」
「教授。すみません、ありがとうございます」
 向かい側の席に腰を落ち着けた教授は、しつらえられた簡素な台の上に、サンドイッチの入った包みを広げる。
 ふとエドガーの手元に目をやって、おや、と口元を緩めた。
「それは、リディアに?」
「はい。可愛い装丁の本なので、好きそうだなと思って」
「喜ぶよ。わたしも見習わなくてはいけないなあ」
 アハハと笑いながら頭をかくものだから、朝に整えたはずの教授の髪はもうボサボサだ。
「駅に着いたら花でも買いますか?」
「そうだね……いや、うーん、それはちょっと気恥ずかしいような……」
 子どもの自分の提言に、腕を組んで本気で考え込む教授を好ましく思う。
 悩んでいる教授から視線を外して、本を包んでいる包装紙を撫でる。
 どんな顔で喜んでくれるかな、と考えていると、「それにしても」と教授が呟いた。
「今回はお土産がふたつもあるから、リディアは大喜びしそうだね」
 ふたつ、という言葉に、エドガーは首を傾げる。
「教授も何かお土産を?」
「わたしじゃなくて、きみだよ、エドガー」
 首を傾げるエドガーに、教授は、ふふ、と微笑んだ。
「予定より早く帰って来れたろう? あの子にとっては何よりのプレゼントだ」
 きょとん、と目を瞬かせる。微笑ましいものを見るような教授の視線から僅かに顔を逸らして、ほんの少しの居心地の悪さを回避する。
 そうなのだろうか。
 兄さま、おかえりなさい、と満面の笑みで抱きついてくるリディアを思い出す。
 ただ自分が帰宅したというだけで、あの笑みを浮かべていてくれるのなら、それはとても嬉しいことだと、エドガーの胸はじんわりと熱くなった。



 ただいま、とフレデリックが玄関先で声をかけると、対応に出たハウスキーパーが取り次ぐよりも先に、とたとたと軽い足音が部屋の奥から聞こえてきた。
「おかえりなさい! 予定、早まったの!?」
 頬を紅潮させて、目をきらきらさせて。それが思い描いたリディアの姿とぴったり重なるものだから、エドガーは思わず笑みを零す。
「兄さま、おかえりなさい!」
「うん、ただいま」
 教授の頬にキスをしてから、こちらに抱きついてきたリディアを、エドガーは軽く抱擁する。
 おかえりなさいのキスをもらって、ただいまのキスを返すのも、もう慣れたやりとりになった。
「リディア、お土産があるんだ」
 はい、と綺麗に包装された本を渡すと、彼女の顔がぱっと輝いた。
「ありがとう! なあに? 開けてもいい?」
「どうぞ」
 嬉しそうにはしゃぐリディアは、丁寧に包装紙を開けると、出てきた表紙の可愛らしさに、また瞳を輝かせる。
 厚みのない軽い本を大切そうに胸に抱いて、にこにことエドガーを見上げてくるリディアは、欲目を抜きにしても可愛らしい。
「ありがとう、兄さま。……あのね、お願いしてもいい?」
「なんだい?」
「あのね、荷物が片付いたらでいいから、……兄さまに読んでもらいたいの」
「なんだ、そんなこと」
 甘え下手のリディアの頼みを、エドガーは笑顔で引き受ける。そうすると彼女は、はにかむように淡い笑顔を見せるものだから、エドガーは思わずその頭を撫でてしまう。
「今日は、お土産がいっぱいね」
「……本だけだよ?」
「ううん、早く帰ってきてくれたのもお土産だし、本を読んでくれるのもお土産だわ」
 あ、ロンドンのお話も聞かせてねと笑うリディアに、エドガーは目を細める。
 愛おしくて、口元が緩むのを抑えられない。
「じゃあ、もう一つ。僕からのプレゼント」
「え?」
 目をぱちくりと瞬かせるリディアの眉間に口づけて、彼女がきゅっと目を閉じたすきに、蕩けるような笑顔を浮かべる。
「大好きだよ、リディア」
 喜んでくれてありがとう。
 そうしてエドガーは、リディアに感化されたように、屈託のない笑みで微笑んだ。
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無題
いつもいつも、楽しく拝読させて頂いております。
今日もびしっと寒いですが、
心がほんわり温かくなるようなお話に、
にんまりしてしまいました。

今年も、エドリディの素敵なお話、楽しみにしております。
それと。
オリジナルのお話の方も、楽しみにしてます!
うまる 2012/01/15(Sun)17:43:43 編集
Re:無題
寒い時こそ、彼らにはぺたぺたくっついていてほしいよね! と思って書いてました(´ワ`*)ほんわかしていただけたなら嬉しいですv
伯妖だけじゃなくオリジの方も読んでくださっているとは…!! うわーありがとうございます!><v
今年も昨年と引き続きの調子になるかとは思いますが、どうぞよろしくお願いしますv
コメントをありがとうございましたv
【2012/01/16 00:37】
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