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ただのいちゃこら話。
ちょっと大人向け……かと思ったけど、原作よりは控えめでした(笑
書きながら思い出しましたけど、私こういうの書くのが好きだったんですよね!


+++



 無意識に寝返りを打とうとして、身体が動かないことに気づいた。
 意識を浮上させて、エドガーの腕が自分を囲っていることを認識する。
 彼の寝息で頭のてっぺんがふわふわ揺れるのを感じながら、背中に当たる感触から、どうやら二人とも何も身につけていないらしいという事実にこっそり赤面した。
 部屋はまだ暗い。高みへ上り詰めた後、そのまま意識を飛ばしていた時間はそんなに長くはないだろう。
 背中から抱きかかえられた体勢でじっとしたまま、リディアは自分の手に重ねられた、エドガーの骨張った手をなんとはなしに見る。
 そっと力を入れてエドガーの手を両手で持ち、手のひらの大きさや指の長さを確かめるように、むにむにと弄る。
 改めて比べてみると、リディアのものよりだいぶ大きい。細い指も、男性にしては細いと言うだけで、リディアの指よりは当たり前のように太い。
 自分の手が子どもの手のようだ。だんだん可愛らしく見えてきた自分の指先で、エドガーの指先をきゅっとつまむ。
 圧迫すると少し色が変わる。とくとくと、小さな脈動が感じられて、こんなところまできちんと血は通っていると、なんとなく感動した。
 ふ、と、背後で笑う気配がした。
 あ、と思った時にはもう遅く、いたずらをしかけていた指は、やんわりとエドガーの手のひらに包まれる。
「……起こしちゃった?」
「うとうとしてただけだよ。もうちょっと見てたかったんだけどな、我慢できなかった」
 くすぐったかった、と言うエドガーの声は笑んでいるから、きっと楽しそうな顔をしているのだろう。
 相変わらず後ろから抱きしめられたままの体勢では、彼の顔が伺えない。
 もぞもぞと動くリディアに気づいたエドガーは、彼女が体勢を変えるのを手伝ってくれた。
「身体、平気?」
「え?」
「ごめんね、止められなくて」
 言わんとすることを察して、一気に頬が熱くなる。
「ん……と、へ、平気よ」
 向かい合ったのは間違いだったかもしれない。真面目な顔でそんなことを謝られても、恥ずかしくて顔が上げられない。
 それに、止めようとしても止まらないのは、エドガーだけじゃないと思う。
 そっと、労るように、エドガーの手がリディアの腰を滑る。ぞくりと肌が粟立って、思わず息が漏れた。
「リディア?」
「へ、平気だったら! だからあの、あんまりそういうふうに触らないで……」
 ちら、とエドガーを見ると、いたずらめいた顔で笑っていた。
 これはまずい。
「そういうふうって?」
「え……」
「ね、そういうふうって、どういうふう?」
 にやにや笑いで顔を寄せてくるエドガーの声は、甘ったるい。
 囁くように吐息を交えるものだから、つい数時間前の熱を思い出して、リディアは固まる。
 必死に顔を逸らそうとするのに、大きな手のひらがやんわりととらえて離してくれない。
 それでも視線だけは合わせまいとしていたら、リディア、と極上に優しい囁き声を流し込まれ、耳朶を舐められた。
 全身が粟立つ。頭が沸騰しそうになる。
 かろうじて声を漏らすのを堪えたリディアは、涙目になりながら遠慮を忘れた力でエドガーを押しのけた。
 シーツがめくれて肌が露わになることには、この際構っていられない。
「謝った端から、意地悪しないで……!」
 睨むと、ごめんね、と言いながらも幸せそうな笑顔が返ってくる。
「あんまりにも可愛いから、つい」
 身構えているリディアにそろり、と手が伸びてきて、頬に軽い口づけが落ちる。
 それにほっと力を抜き、また寝ころんで、エドガーの腕に収まった。
 いつもならすぐに安心できるのに、今はなかなか動悸が収まらない。
 安らぎをくれるはずの体温に、いやにどぎまぎして、リディアは火照った熱を吐き出すように息をついた。
「リディア?」
「エドガーに、殺されちゃいそう……」
 ぽつん、と漏らして、細い腕を引き締まった身体に回す。
 自分の身体とは全然違う固さを感じながら、エドガーの鼓動を探るように、胸に耳を寄せる。
「痺れて、溶けて、消えちゃいそう」
 寄せた耳のあたりに、内側から叩くような音がする。
 ゆっくりと髪を梳いていた手が止まり、ぎゅうっと強く抱きしめられた。
「それはこっちの台詞だよ」
 耳に届いた声には余裕がなくて、あれ? と思う。
 ぎゅうぎゅうと抱き潰されてしまいそうになりながら、身体の境界線が本当になくなってしまえばいいのにと、こっそり思った。
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