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伯爵と妖精、オリジナルなど。コメント等ありましたらお気軽にどうぞv 対象年齢はなんとなく中学生以上となっております(´v`*)
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来月に伯妖の新刊が出ると聞いて!
エドガーの記憶戻ったあとのエドリディ妄想が止まらないので、気持ちを落ち着けるために投下します。
あんまいちゃいちゃしてる暇はないのかな……と思いつつ、でもエドガーのことだからどんなせっぱ詰まった状況でもいちゃついてくれるって信じてます-3

あ、DL販売に「それは祈りの声に似た」(幼馴染みパロ)と「夜明けに見る光」(えせ兄妹パロ)が追加されました^^
だいぶ長編なのでパソで読むのはしんどいかもしれませんが……ボリュームとときめきがいっぱい詰まってると思うので、興味がありましたら見てやってくださいv

エドリディはずっとくっついてるといいよ!


+++



 エドガーの記憶が戻った。
 それは手放しで喜べることではないはずだった。
 けれど、彼がお腹の子ごとリディアを抱きしめて、本当に嬉しそうに笑うのを見た瞬間から涙が止まらなくなってしまった。
 伯爵家のみんなと今後のことを話している時も、めいめいにお茶請けをつまみながら雑談している時も、エドガーが離そうとしないのをいいことに、リディアはずっと彼にくっついていた。
 目蓋が熱を持って、頭がぼんやりしている。瞳は勝手に潤んできて、時折ほろりと水滴となって頬を転がっていく。
 そんな状態でも、エドガーがそっとリディアと目を合わせてくると、ごく自然に微笑みが浮かんだ。
 目を細めて、愛しい人の顔を見る。涙でぼやけることを無意識に拒否しているのか、灰紫の瞳はいつでもクリアに映った。
 簡単な夕食をすませて、私室に下がる。
 夜着に着替える合間にもエドガーの温もりが恋しくて、湯浴みもほどほどに寝室に向かうと、なぜかエドガーは着替えていなかった。
 上着もベストも取り払った格好は十分にくつろいだものだけれど、ベッドに潜り込むには適さない。
 首を傾げながら、ソファに座っているエドガーの傍らに寄り添うようにして腰掛ける。
 すぐに伸ばされる腕を当たり前に受け止めて、懐に深くもたれかかった。
 ボタンがいくつか外されて、綺麗に浮かび上がった鎖骨が覗いている。なんとなく顔を赤らめて目を逸らすと、頭のてっぺんに彼の頬が押し当てられた。
「涙は止まった?」
「ええ。びっくりしたわ、全然止まらなくて……。あの、ごめんなさい、困らせたわよね」
「困る? どうして」
 促されて、少し身体を離す。エドガーは優しくリディアを見下ろして、ゆっくりとした動作で彼女に口づけた。
「愛おしくて、たまらなかったよ」
 吐息が頬をかすめる。顔を真っ赤にしたリディアは逃げ出したい心地になったが、どうにも視線がそらせずに、エドガーの整った顔を眺めている。
 また瞳が潤んでしまいそうだ。細腕を伸ばして、彼との間にある空間を押し潰す。
 ぎゅっと抱きつくと、愛おしむように髪を撫でてくれる手が好きだ。
 片方の手は彼と指を絡めて、安心を得る。
 長い指が癖のない髪を梳き下ろしていく感触をうっとりと感じていると、しばらくして控えめに肩を叩かれた。
「リディア、疲れたろう? 子どものためにも早く寝なくちゃ」
「……エドガーは?」
 まるでリディアだけを寝かしつけようとする態度が腑に落ちない。
 改めて彼の格好を見下ろすリディアに、エドガーはうん、と曖昧な声を出した。
「今日は別々で寝ようかな、とか」
「どうして?」
 思いも寄らないことを聞かされて、自然と大きな声が出た。
 その声に自分でびっくりしたリディアだが、改めてエドガーに向き合う。
 どうして、と問いかける声は、自分の耳にも懇願の響きを帯びて聞こえた。
 傍にいたい。今日は、離れていたくない。
 手袋をしていない彼の手が頬を撫でる。真っ直ぐに見つめるエドガーの瞳に、熱が点っているような気がしてリディアは目を瞬かせる。
「一緒のベッドにはいったら、多分、我慢できないから」
「……」
「君の身体のこと、気遣ってあげられないかもしれない。お腹の子もいるのに、それはまずいよ」
 指先が慎重にリディアの顎の輪郭を辿っている。
 繊細な手つきの奥にとんでもない熱が込められているようで、リディアもつられてしまいそうになる。
 けれど、彼女の手のひらは無意識にお腹にあてられていた。
 自分一人の身体であれば、エドガーを拒む理由などどこにもないのだけれど。
 しばし悩んで、けれどどうしても諦められなくて、リディアは彼の手を離せない。
「じゃあ、寝なくていいわ。夜通し起きてる」
「リディア、そんなことして体調をくずしたらどうするんだ」
「一晩くらい平気よ。どうせ一人でベッドに入ったって、眠れそうにないし」
「リディア」
 静かに叱るような声音に、少し怯む。
 けれどそれを振り切るように幼い仕種で首を振った。
「だって、嫌なんだもの。お願いよエドガー、わがままだってわかってるけど……」
 きゅっと彼の両方の手を捕まえて、一生懸命に瞳を見上げた。
「傍にいたいの。お願いよ。ひとりで眠ったら、きっと今こうしてることを、夢だと思ってしまうわ」
 潤みかけた視界の中で、エドガーが少し狼狽えたような気がした。
 彼は数秒逡巡した後で大きく息をついて、リディアを広い胸に抱きしめる。
「リディア……そんなの、どこで覚えてきたんだ?」
「え、なんの話?」
「だんだん誘惑の仕方がうまくなるよね……先が怖いな。きみには一生敵わなさそうだ」
 怖いと言いながら、エドガーはなんだか楽しそうだ。
 誘惑だなんて、と恥ずかしく思いながら、彼が願いを聞き入れてくれそうな様子にほっとして力を抜く。
「あたしは、あなたがいないと駄目だわ」
「僕だってそうだよ」
 リディアの身体を支えるようにきつく抱きしめてくれる腕には、熱よりも安心感を強く感じる。
 夜通し起きていると言ったけれど、眠ってしまいそうだ。そうならないように、リディアは目蓋を押し上げてエドガーを見上げる。
 見返してくるエドガーは、リディアが知っているエドガーそのもので、彼女はいつまででも見つめていたいと思った。


+++

そして生殺される旦那さま^^
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コメント
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わー!
出ますよね新刊!ヽ(・∀・)コバルトにも短編あるみたいですし。
エドリディがくっついてると幸せそうでなによりです(*^^*)
いつきさんの文はぬくもりがあって、彼らの思い合うかたちが伝わるなあと思います…(意味不明ですいません…)
読めて嬉しくなって勢いこんでのコメントでしたf(^^;ありがとうございます
いきなりのお邪魔失礼しました!
あめ 2012/12/01(Sat)01:24:39 編集
わー(´ワ`*)
新刊出ますね! すごく楽しみです! 短編も読めたので、今年はいい感じで終われそうな予感がします(´ワ`*)
エドリディにはぎゅうぎゅうくっついててもらいたいです><v 私がこめた「幸せになれ」オーラがあめさんに伝わったようで何よりです!(笑
コメントをありがとうございましたv
【2012/12/06 23:54】
わーい
甘い話でいいですね
今月のコバルトの短編は久しぶりに新婚話の甘い話で
そちらを読んだあとこちらも読むと余計に
ああ早く本編も記憶戻って欲しいと(笑)
やっぱり二人がくっついてるのが一番ですよね

てぶろのっちっさくなりましたのふくれっつらでエドガーに
おひざだっこされてるリディアがすごくカワイイです
あまりに可愛すぎて、毎日見に行ってます(笑)

それと質問なのですが、おまけページの更新は終了なのでしょうか?
ランスくんの話がもう少しよみたかったので
ちょっと気になりました

つらつらと乱文ですがこれからもお話楽しみにしてますので
ゆっくり更新お願いします
natuki 2012/12/01(Sat)01:42:48 編集
わーい^^*
私も短編読んできました! エドガーが通常運転で、ああこんなんだったなエドガー……と、懐かしくなりました(´ワ`)
新刊で戻りそうですよね、楽しみです^^*
手ブロもおまけも亀更新ですみません……! ふたつともちまちま書き進めております>< 手ブロはそろそろ終わるはずなんですが、落としどころを見失ってしまいました←
おまけの方はあと二つ、短めのを書いて終わる予定です。お花飛ばしてる伯爵を見て頭を抱えるランスを書きたいと思ってます(笑
コメントをありがとうございましたv
【2012/12/06 23:58】
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