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伯爵と妖精、オリジナルなど。コメント等ありましたらお気軽にどうぞv 対象年齢はなんとなく中学生以上となっております(´v`*)
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4月からずーーーーーっと抱えていた懸案の一つがようやっと終わりました!
本当はまだ結果待ちの状態ですが……多分おそらく大丈夫だろう、ということで、ほっとしています(´ワ`*)
また春コミにむけて本でも作りたいなーと思い、もそもそと準備をし始めておりますよ!
にゃんことか出したいです。サイトの描き直しと再録と書き下ろしと……とりあえず、ちびにゃんこで一冊形にしたい、というのが目下の目標です(ぐっ

メールのお返事はすべて出し終えました!
お待たせして申し訳ありません>< 届いてないよーという方がみえましたら、お手数ですがご一報ください。

お話は脳内ぐるぐる回ってた伯爵夫婦のお話です^^
ついったで「疲れた」と呟くと、エドガーbotが「ボクの膝においでよ^^」とか言ってくるので、そんな話になってます(笑


+++


「アシェンバート卿、奥方も、今日は楽しい時間をありがとうございました」
「いえ、こちらこそ。お招きいただき光栄でした」
「リディアさん、今度はぜひお茶会の方にいらしてくださいね」
「ありがとうございます、次の機会も楽しみにしていますわ」
 小さな夜会のホストに見送られながら、エドガーとリディアは待たせていた馬車に乗り込んだ。
 御者台にはレイヴンが座り、発車の合図を確認すると、馬にひとつムチを送る。
 箱馬車の中はエドガーとリディアの二人きりだ。人目から遮られ、緊張していた身体を弛緩させるように深くもたれ込むと、エドガーが心配そうに覗き込んできた。
「リディア、疲れたかい?」
「ううん、平気よ。穏やかな方々だったもの」
「でも、病み上がりだろう。もう少し早く切り上げればよかったかな」
 そんなことないのよ、と言う前に、隣に座ったエドガーの手が伸びてきて、リディアの髪に触れる。
 手探りでピンを抜き取られて、きちんと結い上げられていた髪が少し傾いた。
「ちょっと、なにしてるの」
「もう帰るだけなんだからいいだろ? その頭じゃ休めないよ」
「ピンもかんざしもきちんと仕舞う箱があるんだから。こんな所でとって、なくしたらどうするの」
「安心して。全部ポケットに入れておくから」
 かんざしはポケットに入れちゃ駄目じゃないかしら。
 そんなことを思っている間にも、エドガーの手は迷いなくピンを探り当て、編み込まれた髪をするすると解いていく。
 メインの大きなかんざしをそっと抜き取り、ハンカチに来るんで向かいの席に置くのを眺めながら、彼の指先が地肌を擦る感触にうっとりする。
「リディアの髪は、本当にくせがつかないね」
「ケリーが大変そうにしてるわ……今日は少し香油を使ったみたいだけど」
「うん、いい香りがする」
 自然な動作で引き寄せられて、額の生え際にキスが落ちる。
 そのままさらに身体を傾けるよう促されて、リディアは慌てて体勢を立て直そうとした。
 が、間に合わず、エドガーの膝の上に身体を倒してしまう。
「ちょ、ちょっと……」
「屋敷まで少しあるからね。少し眠るといい。ちょっと熱い気がする」
「気のせいだと思うわ」
「どっちでもいいよ。きみを甘やかしたい気分なんだ」
「なによそれ……」
 ぼやきながらも、身体を横たえた途端に力がどっと抜けてしまったリディアは、お言葉に甘えて彼の膝に体重を預ける。
 エドガーの太ももは固くしまっていて、田舎で使っていた長椅子を思い出す感触だ。
 本当に寝ちゃいそう、と思いながら、ちらりとエドガーの顔を見上げた。
 盗み見るつもりだったのに、柔らかく細められた灰紫とまっすぐに目が合ってしまい、思わず頬を染める。
「どうしたの?」
「な、なんでもない」
 くすくすと笑うエドガーを恨めしく思いながら、リディアは思わず視線をさまよわせる。
 しばらくあらぬ所を見ていたけれど、エドガーの視線が外れないのを感じ、耐えきれなくなってしまった。
「も、もう。景色でも見ててよ!」
「外なんて見たって真っ暗じゃないか」
「ガス灯とかついてるでしょ」
「好んで見たいとは思わないなあ」
 長い指先が、そっとリディアの髪をかき上げる。その手つきがあまりにも慎重で、柔らかくて、リディアは先ほどからひしひしと感じている引力に抗うのを諦めた。
 そろり、と視線を合わせて、いっそう穏やかに微笑むエドガーの頬に手を伸ばす。
 冷たいね、と呟きながら手の先をとられて、温もりを与えるように強く握り混まれた。小さな動作ひとつひとつに愛しみが込められているようで、胸の奥が切なくなる。
「ねえ、どうして、そんなに好きでいてくれるの?」
「いまさら聞くの?」
「いまさら……なの?」
「いまさらだよ」
 エドガーは笑う。くすくすと、幸せそうに、それはもう極上の笑みで。
 とられた手に口づけが落ちて、彼は蕩けるような視線でリディアを見下ろしている。
「リディアだって、僕のことが大好きじゃないか」
「それは……だって、当たり前じゃない」
「当たり前なの?」
「当たり前よ」
 エドガーの優しい笑みから目を離せなくなりながら、リディアは馬車の車輪が地面と擦れる音より強く、自分の鼓動を感じている。
 ゆっくりと髪を撫でていた手が軌道を変えて、リディアの唇をなぞった。
 それでも逃げる気が起きずにぼんやりしていると、エドガーは、ふ、と笑みを含んだ息をつく。
「しまったな」
「なに?」
「この体勢じゃ、キスができないね」
 熱いのは、病み上がりのせいじゃないかもしれない。
 指で触れられるだけで口づけを受けている気になりながら、リディアは赤く染まってしまった顔を隠すために、エドガーの膝に顔を埋めた。
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