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伯爵と妖精、オリジナルなど。コメント等ありましたらお気軽にどうぞv 対象年齢はなんとなく中学生以上となっております(´v`*)
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新刊読みました読みました!
今回とてももだもだしました。えへへ。しあわせ。
リディアの受難はまだ続きそうだけど、とにかくみんなから愛されてて、私はしあわせです(なに
エドガーの受難もまた再びって感じですね! 頑張れエドガー。強く生きろ。

ていう、シリアス路線を探せば「ふおおおお」ってなる伏線がたくさんあったんですが、私はとにかく開始数ページ目できらっきらしてるエドガーにふきました。なんとなくアニメエドガーが脳裏に浮かびました。アニメあんまり見てませんが。
かわいいなあもう・・・w

以下、ネタバレありありの補完小説です。
リディアがかわいすぎる。


+++



 目は開けていても、半分夢の中にいるようなもの。
 フランシスからリディアの状態をそんなふうに説明されてもピンとこなかったが、実際にリディアと対面して、こういうことかと納得した。
 ケリーによってドレスを整えられ、髪を綺麗に梳かれたリディアは、ドレッシングルームの椅子に座っていた。
 鏡越しに見る彼女は軽く目を閉じていて、微睡んでいるようにも見えるけれど。
「リディア」
 声をかけるとゆるりと目蓋をあげて、鏡の奥にエドガーの姿を認めたのだろう。微笑んで、鏡の方に向かって手を伸ばす。
 エドガーは苦笑して、背後から彼女の手を取った。
「おはよう、リディア」
 リディアはなにも言わない。ただ鏡像でない方のエドガーを見上げて、にっこりと笑う。
 屈託のない笑みに心が躍りながらも、エドガーの中にはどこか遠慮があった。
 彼女の妊娠の事実を知り、プロポーズを取り下げたエドガーだ。そういえばここ数日、彼女のこんな笑顔を見ていないと思えば胸が騒いだ。
 だが、自分の葛藤に意識を向けている場合ではないと、頭を切り換える。
 リディアは、とても幸福な夢を見ている。憂いのない、曇りのないこの笑顔を、今は守ってやらなくては。
「食事はすんだ? なら、場所を移動しよう。居心地のいいように、ケリーが整えてくれたよ」
 抱き上げようとしたけれど、リディアが自分で立ち上がる素振りを見せたから、それを支えるために腕を添えた。
 ゆっくりと動く彼女は、半分夢の中と言われたとおりにどこか危なっかしくて、はらはらする。
 案の定、絨毯に足を取られて細い身体が揺らめいた。抱きとめると、コルセットを着けていない柔らかな感触が彼の腕の中にすっぽりとおさまる。
「大丈夫?」
 リディアはぱちぱちと瞬きをして、またふわりと微笑んだ。
 身体に触れても、近い位置で覗き込んでも、リディアは嫌がらない。それどころか、ひどく幸福そうな表情を浮かべるものだから、エドガーは自分たちの間にあるもろもろの問題を忘れてしまいそうになる。
 いや、忘れてしまえばいいじゃないか。今の自分は、彼女の夢の中の住人なのだから。
 ぎゅ、と抱きしめると、リディアが頬をすり寄せてくる。手放しがたくなってしまう。
「伯爵、なにをして……あら、まあ、リディアさまったら」
 華奢な指がエドガーの上着をしっかりと握り混んでいるのをまじまじと見たケリーが、咎める気をなくしたように息をついた。
 当のリディアは顔を真っ赤にして離れようとすることもなく、ケリーを見やってにこにこしている。
「リディアさま、ソファを整えておきましたよ。参りましょう?」
 リディアはひとつ頷いて、エドガーを見た。もの問いたげな目線を受けて、微笑み返す。
「僕も一緒にいいかな? 本とかパズルとか、きみが退屈しないように、いろいろと用意してきたよ」
 嬉しそうに、リディアがまたすり寄ってくる。リディアの温かさとか柔らかさとか香りを間近で感じて、ちょっと目眩がしそうになった。
 横抱きにして抱き上げると、当たり前のように首に腕が回る。首筋にふわふわの髪が当たってくすぐったい。
 ふと思いついて、リディアを抱えたまま、いきなりくるりと回ってみた。
 遠心力で長い髪とスカートの裾がふわりと舞う。リディアは一瞬驚いた顔をしたが、エドガーが覗き込むと子どものように破顔した。
 ―――可愛い。
 調子に乗って、もう一度、今度は少しきつめに回る。エドガーの首にぎゅっとしがみつきながら、リディアは声を立ててもおかしくない様子で笑っている。
「は、伯爵」
「大丈夫だよケリー。僕がリディアを落とすとでも?」
「そ、そうですけど……」
 激しくするのは、確かにリディアの身体によくないかもしれない。けれど、リディアがあんまり楽しそうにするものだから、エドガーは回ったり、揺らしたりしながら、しばらく細い肢体を抱えたまま部屋の中を動き回っていた。
「……なにやってんだ?」
 ノックもなしに入ってきたロタが、そんな二人の姿を見て呆れた声を上げる。
 反射的に帰れと言いそうになったが、リディアがエドガーに抱えられたままロタの方に手を伸ばすのを見て、しぶしぶとアメリカ訛りの女の方へと近づいていく。
 リディアの笑顔がロタに向いてしまった。その笑顔を受けて、ロタが彼女の手を取ろうとしたところで、思わずひょいとリディアの身体をひいてみる。
 空振りした手を不思議そうに見た後で、リディアはむう、と頬を膨らませた。エドガーの肩をぺしぺしと叩いて抗議する。
「ごめんごめん、冗談だよ」
 あまりの可愛さに、ロタに対する嫉妬心も吹き飛んで、彼女をそっと床に下ろした。ロタに任せて離れようとしたら、リディアに手を掴まれて、幸せな気分になる。
 ロタはリディアのその様子をまじまじと見て、にっと笑った。
「ひとりじめ?」
 端的な単語が自分のことを指しているのかどうか、確信は持てなかったけれど、リディアが花のように笑うから、エドガーは自分のことであってほしいと、繋がれた手をぎゅっと握った。
 よかったなあ、とロタが笑う。そのロタと左手を繋ぎながら、リディアは右手を繋いだエドガーにぴったりとくっついてくる。
 彼女が、自分の隣で、安心しきった笑みを浮かべている。身体全部で寄りかかって、開けっ放しの笑顔を惜しげもなくエドガーに向けて。
 頼られていると、強く感じた。愛しい気持ちがわき上がってきて、エドガーはなんだか泣きそうになる。
 彼女の腹に赤ん坊がいることなど、なんの障害になるのだろう。この気持ちを抑えることが、果たしてエドガーにできるのだろうか。
 そんな考えが顔に出てしまったのだろうか。いつの間にかリディアは笑みを消して、心配そうにエドガーを覗き込んでいる。
 なんでもないよ、と取り繕うけれど、彼女は軽く首を傾げるだけだ。
 見抜かれている。そんなところも愛おしくて、たまらずにエドガーはリディアを抱きしめた。
 守らせてくれ、と小さく呟く。胸元にそっとすり寄せられた額が、リディアの本心であればいいと、強く思った。


**

 リディアのツン要素がなくなると途端に手が出せなくなるエドガーが面白いです。
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コメント
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無題
こんにちは

わたしも新刊読んでもだえました!
夢にいるリディアは鏡の国と似たような状況だったのかなぁっと考えつつ、今回はエドガーが幸せそうだったので、嬉しくなっちゃいました。やっぱ、エドリディが幸せそうだと、安心します。
今回も素敵な補完ありがとうございました!
yutaka 2012/09/02(Sun)15:29:07 編集
Re:無題
こんにちは! 新刊もだえましたよね……! 私も鏡の国を連想しましたー悩ましげなエドガーも好きですが、ひたすら下心を押さえ込もうとしてるエドガーも面白くて可愛くて、微笑ましくなりました(´ワ`*)
というか本当にリディアが可愛くて可愛くて……!! 思わず補完してしまいましたが、自分で書いてもやっぱりなんだか物足りないです(´`) が、楽しんでいただけたなら何よりですv
コメントをありがとうございましたv
【2012/09/02 23:57】
無題
はじめまして(^^)
私も新刊読みました。
リディアのツンがなくなると手を出せないエドガー笑笑
本当にその通りですね( ´艸`)
にやけが止まりません←
今回も素敵な小説ありがとうございました(*´∀`)
ななしさん 2012/09/12(Wed)21:00:31 編集
Re:無題
はじめまして! 読んでくださってありがとうございます^^*
リディアのツンはエドガーにとって大事な攻め要素なのですね……! 意地っ張り部分がなくなると手を出すタイミングを見失っているような、そんなエドガーが大好きですw
コメントをありがとうございましたv
【2012/09/17 19:28】
無題
はじめまして。
いつも楽しく拝見させて頂いてます(^^)

新刊読みました。
久しぶりにらぶらぶ甘々な二人が読めて嬉しかったですね。
さらに夜深さんのお話を読ませて頂いて、ほのぼの~とさせて頂きました(*^^*)

エドガーの「興奮する」にはぷぷっときましたが、その後のらぶらぶピンク話を夜深さんの作品で読んでみたいと思ったのは私だけでしょうか?
なーんてさりげなくリクエストしてみちゃいました。ずうずうしくてスミマセン(^^;

これからも楽しみにしています。
頑張ってくださいね。
はるぼーまま 2012/09/14(Fri)20:26:51 編集
Re:無題
初めまして! ご覧くださってありがとうございます><v
新刊は久しぶりに、誤解はあるものの生身の二人でのらぶらぶシーンが拝めましたね……!
エドガーの「興奮する」は、さすがエドガー歪みない……ていう感じでしたw リディアのこと大好きなオーラがばんばんに出てて、よかったです!v
原作補完のらぶしーん、書きたいなあと思ってたものがあるし、せっかく後押ししていただけたので書いてみようと思います(ぐっ
コメントをありがとうございましたv
【2012/09/17 19:31】
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