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5月の半ばに入院して、下の親知らずを二本抜いてきたんですが、しばらく面白いくらいに顔がぱんぱんに腫れました……! 顔面変形レベルでした。未だにちょっとしこりが残ってますよおそろしい……。
今は歯茎に空いた穴に食べかすがつかえるくらいで、痛みはほぼなくなりました^^
でも違和感が気にならなくなるまでに一ヶ月、完全に肉が埋まるまでには約半年、と聞いてるのでさきはまだまだ長そうです><
ごはんが美味しく食べれるって幸せですね! みなさんも歯と胃と咥内はお大事に!
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	 神山に流れている『気』は、下界のそれとはまったく違う。
	 毒気がなく、純粋で聖なる気に満ちている。
	 それがただ人にとって必ずしもいい影響を及ぼすかというとそうでもないが、輝石、もしくはくず石を抱いて生まれてきたものにとっては、大きな癒しの力となる。
	 その恩恵にあずかるため、年に二回、下界の人間は神殿の指揮の下、神山を訪れる習慣が続いている。
	「……でね、今回の責任者は若い女の子なんだって」
	「ああ、下人たちが浮き足立ってたなあ。若いったって当たり外れがあるだろうに」
	「若くて可愛い女の子らしいわよ」
	「どっからそういうこと聞いてくるんだよ」
	 呆れた眼差しを向けられて、キュレイアは頬を膨らます。
	 『アフロディテ』を憑き神にもつ彼女の顔はとても整っている。この顔を見慣れているサラムにとっては、下人基準の「可愛い」などまったく当てにならないし、期待できないレベルだと思う。
	「宮の庭に出て、ちょっと耳を澄ませば聞こえてくるわよ。あんたも情報を集めといて」
	「なんでまた」
	「……リーンが来るのかもしれないじゃない」
	 ぽそっと呟かれた言葉に、そういうことか、と納得する。
	 会いたいけれど、来ないでほしい。そんな葛藤が彼女の表情からありありと伝わってきて、サラムは腕を組んでキュレイアに向き合った。
	「ちょっと思ったんだが、その若い女って代替わりした『イーリス』のことじゃないか?」
	 『イーリス』は虹の女神で、下界から神山へ虹の架け橋をつくり道を通すことができる唯一の存在だ。
	 前回までは中年にほどなく届きそうな女性だったが、今回新しく替わるらしい、ということはサラムの耳に入っている。
	「そうなの?」
	「んーまあ、リーンが来る可能性は否定できねえけど……神殿のやつらが簡単に寄こすとも思えねえしなあ」
	「そう、よね。うん、そうだといいわ」
	 小さくため息をつくキュレイアの気持ちは、サラムにもよくわかるものだ。
	 どうなるかわかんねえけどな、と胸中でもう一度呟いて、午後の役目に戻るために席を立った。
	 結論から言って、アイリーンは神山に現れた。ついでに、新しい『イーリス』は男だった。それを知ったキュレイアは、今度は別の理由で気を揉んでいる。
	「なによあの人! ちょっとリーンに馴れ馴れしすぎるんじゃないの!」
	「下界でずっと一緒だった友人らしいじゃねえか。しかも二人揃って若手の高官だ。話があうんだろ」
	「なに余裕こいてんのよおお! 明らかにリーン狙いじゃない!? ちょっと! ねえ!」
	「うるせえなあ……リーンが誰に惚れようが自由だろ? 祝福してやれよ」
	「ちょっとやめてよ! すでに相思相愛みたいに言わないで!!」
	 ぎゃあぎゃあ騒いでいたから、後ろから通りがかったセツナが呆れた声を出すまで、彼が近くにいることに気づかなかった。
	「往来で叫ぶような話題か」
	「セ、セツナ」
	 彼にはあまり聞かれたくない話題だ。キュレイアは今までの勢いを急速に萎れさせて、おろおろしてしまう。
	 それを、苦言を受けたことへのばつの悪さととったセツナは、ひとつ頷いてサラムへ視線を向けた。
	「噂なら俺も聞いてる。『ヘルメス』がアイリーンを口説いたとか」
	 『ヘルメス』とはサラムのことだ。彼は濃い青の瞳を細めて顔をしかめた。
	「リーンが俺に落ちるかよ。口説くならもっと遊び甲斐のありそうなのを選ぶね」
	「相変わらず最低な駄目男ね……」
	 ぼそりとキュレイアが呟くが、サラムはいっこうに気にした様子がない。
	「『アフロディテ』がやたらアイリーンに近づくのは、美しい彼女への対抗意識からだとか」
	「ちょっと、リーンとはってどうするってのよ。あたしもリーンも文句の付け所のない美人だってのに」
	「自分で言うなよ……」
	 ぼそりと言うサラムの足を踏み、ふんぞり返る。
	 セツナも別に噂を真に受けているわけではないだろう。内容はともかく、と前置きして淡々と続けた。
	「噂が出回るほど、お前たちが彼女に個人的に接近しているのは事実だろう。まだ三日だぞ? 仕事をしろ」
	 言いたいことはいろいろとあったが、セツナの言うことが正論なので、キュレイアもサラムもそれぞれの表情で頷いた。
	 去っていくセツナの後ろ姿を見送りながら、キュレイアは思わず口を開く。
	「自分の噂は聞いてないのかしらねー」
	「セツナの宮にいる下人はかたいのが多いからなー」
	 実際には、無愛想、鉄面皮、神山にいる近づきたくない神憑きナンバー1の『アレス』の耳にふざけた噂が入るのを恐れているのだろうが。
	「そろそろ『イーリス』と二人でリーンを取り合ってる説が出てくる頃だな」
	「『ヘルメス』も入って三人で取り合うことになるんじゃないの?」
	「そしてそれに嫉妬する『アフロディテ』か。下人たちの楽しみはつきないな」
	 口が減らないサラムの足をもう一度踏んで、キュレイアは「どうしたもんかしら」とため息をついた。
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