伯爵と妖精、オリジナルなど。コメント等ありましたらお気軽にどうぞv
対象年齢はなんとなく中学生以上となっております(´v`*)
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憂さはあんまり晴らされてない上に、チキンゲームは実行されませんでした。
オリジナル「楽園」の、ファノン・ティニィ・フィリア・シリィです。また時間ができた時に、簡単なイラストを貼るようにします^^
(2011.8.17追記)画像はっつけました!
+++
さて、どうしたもんか。
ファノンは遠い目をしながら、考えることを放棄したくなった。
雪原の一角に、ぽつんと点る炎がある。
それは焚き火で、急激に襲ってきた雪と氷からなんとか回避できた枯れ枝を触媒に、ファノンが点したものだ。
貧弱な触媒に似合わず、炎は元気よく燃えている。
自然の法則を無視したその勢いは、ファノンの「力」によるもので、ついでに言うと、ここら一体はつい数分前までなんの変哲もない野原だった。
ファノンは炎に手をかざしながら視線を上げ、氷の粒がひときわ渦巻いている一画を見やる。
つい先日拾った新しい旅の同行者は、想像以上のトラブルメーカーだ。
「ファノーぐるっと結界張ってきたよ」
どうしようかなーと、考えている振りをしながら思考停止をしていたファノンの元に、緑色の髪の少女が跳ねてきた。
元が薄着の少女は、寒い寒いと言いながら、焚き火の方に駆けてくる。
「おーお疲れさん。ティニィ、保ちそうか?」
「まあ、なんとか? フィーもいるしね」
ティニィの視線を追うと、新たな同行者その2であるフィリアが、銀色の髪をふわふわと揺らしながら、にっこりと笑んでいるのが見えた。
そんな、にこにこしてる場合じゃないんだけどな! と思いながらも、ファノンもつられて笑い返す。
「フィー、寒くないか?」
「平気。シリィ、楽しそうね」
心から祝福を贈るような笑みと言葉に、ファノンは肩を落とす。ちょいちょい、とフィリアを手招いた。
ティニィと同じく、フィリアも十分に薄着である。もとは温暖な気候の中を旅していたのだからその格好に不思議なところはないのだが、突如吹雪に襲われている今になっても、フィリアは寒そうな素振りをしない。
平民の子どもが着るような、簡素なワンピース一枚だけしか着ていないフィリアは、寒くないのが不思議なくらいなのだが、ファノンはそのことについて深く考えないようにしている。
人外であるのか、人の中の異分子であるのかはわからないが、ファノン自らのことを鑑みても、人のことをとやかく言えるほど自分はノーマルではないという自覚がある。
「喜んでるところ悪いんだけどな」
「うん」
「そろそろ止めようと思うんだ」
くい、と親指で指した先、氷の粒で景色が凝っているあたりにいるシリィを示すと、フィリアはきょとんと首を傾げた。
「でも、楽しそうなのに」
「シリィはもっと、はた迷惑にならないように遊ぶことを覚えるべきなんだ」
そうなの? と、フィリアの浅葱の瞳がティニィを見る。
見かけだけなら最年少のティニィは、幼子に言い聞かせるようにフィリアに向き合った。
「結界が切れたら大惨事よ。あんたの大好きなお花が一輪も存在しない世界を作りたくないでしょ?」
眉を下げて、フィリアが頷く。
よし、と意味もなく重々しく頷くと、ファノンは「やりたくねーなー」と言いながら立ち上がった。
「じゃあ、ちょっと俺の火で相殺してくるから」
「ちょ、嵐になるじゃない!」
「多少は仕方ねーだろ」
「多少ですむの!?」
冷気と熱気がぶつかりあったらどうなるか、想像に難くない。
しかもそのシリィの吹雪に対抗するだけの熱をぶつけるとなれば、生じる嵐の大きさは……あまり想像したくないものだ。
「じゃあそこで、ティニィが逆風を送ってさらに相殺を」
「結界が壊れるんじゃないかしら……」
だんだん嫌そうな顔になっていくティニィに、さもありなんと頷きながらも、まあやるしかないだろうなとファノンは考えている。
フィリアに結界を維持しておいてくれと頼むと、彼女は頷きつつも首を傾げた。なんだ。
「シリィにやめるように言えばいいんじゃないの?」
「え。声届くのか? 暴走してるだろ」
「歌なら」
こくりと頷くフィリアを、まじまじと見る。
「力」を暴走させた輩を止めるには「力」をぶつかるしかない、というのがファノンの長い人生の間に刻みこんだ常識だ。
時には「力」の行使者を殺さなくてはならない場合もある。
シリィの場合は力が飛び抜けている上に、精霊の寵愛も受けているようだから、間違って殺すようなことはないにしても、尋常じゃない被害は覚悟していたというのに。
「ノーダメージで?」
「うん。ファノとティーは結界の外に出ていてね」
マジかよ、と思ったのはファノンだけではないらしい。ティニィもフィリアをまじまじと見ていたが、まったく気負っている様子がない彼女にこれ以上の問答をぶつけるのは、なんとなく憚られた。
ノーダメージでだぞ、と念を押して、ティニィと連れ立って結界を出る。
途端に変わった空気の暖かさに、思わず息をついた。
「ファノが一番寒さに弱いわよね」
「俺が一番一般人だからなあ」
どこが、と小突いてくる拳は、見た目にそぐわずなかなかに重い。
適当にいなしながら、フィリアが失敗した時のために、とあれこれ思いを馳せていたファノンだが、唐突に消えた雪原に思わず唖然とする。
舞っていた氷と雪は言うまでもなく、地面を覆っていた白さが跡形もなく消えてしまった。
青々と広がる野原の向こう、しゃがみ込んで何事もなかったように笑いあっている銀色の一対を見やりながら、ファノンは喉の奥で「規格外」と呻いたのだった。
ファノンは遠い目をしながら、考えることを放棄したくなった。
雪原の一角に、ぽつんと点る炎がある。
それは焚き火で、急激に襲ってきた雪と氷からなんとか回避できた枯れ枝を触媒に、ファノンが点したものだ。
貧弱な触媒に似合わず、炎は元気よく燃えている。
自然の法則を無視したその勢いは、ファノンの「力」によるもので、ついでに言うと、ここら一体はつい数分前までなんの変哲もない野原だった。
ファノンは炎に手をかざしながら視線を上げ、氷の粒がひときわ渦巻いている一画を見やる。
つい先日拾った新しい旅の同行者は、想像以上のトラブルメーカーだ。
「ファノーぐるっと結界張ってきたよ」
どうしようかなーと、考えている振りをしながら思考停止をしていたファノンの元に、緑色の髪の少女が跳ねてきた。
元が薄着の少女は、寒い寒いと言いながら、焚き火の方に駆けてくる。
「おーお疲れさん。ティニィ、保ちそうか?」
「まあ、なんとか? フィーもいるしね」
ティニィの視線を追うと、新たな同行者その2であるフィリアが、銀色の髪をふわふわと揺らしながら、にっこりと笑んでいるのが見えた。
そんな、にこにこしてる場合じゃないんだけどな! と思いながらも、ファノンもつられて笑い返す。
「フィー、寒くないか?」
「平気。シリィ、楽しそうね」
心から祝福を贈るような笑みと言葉に、ファノンは肩を落とす。ちょいちょい、とフィリアを手招いた。
ティニィと同じく、フィリアも十分に薄着である。もとは温暖な気候の中を旅していたのだからその格好に不思議なところはないのだが、突如吹雪に襲われている今になっても、フィリアは寒そうな素振りをしない。
平民の子どもが着るような、簡素なワンピース一枚だけしか着ていないフィリアは、寒くないのが不思議なくらいなのだが、ファノンはそのことについて深く考えないようにしている。
人外であるのか、人の中の異分子であるのかはわからないが、ファノン自らのことを鑑みても、人のことをとやかく言えるほど自分はノーマルではないという自覚がある。
「喜んでるところ悪いんだけどな」
「うん」
「そろそろ止めようと思うんだ」
くい、と親指で指した先、氷の粒で景色が凝っているあたりにいるシリィを示すと、フィリアはきょとんと首を傾げた。
「でも、楽しそうなのに」
「シリィはもっと、はた迷惑にならないように遊ぶことを覚えるべきなんだ」
そうなの? と、フィリアの浅葱の瞳がティニィを見る。
見かけだけなら最年少のティニィは、幼子に言い聞かせるようにフィリアに向き合った。
「結界が切れたら大惨事よ。あんたの大好きなお花が一輪も存在しない世界を作りたくないでしょ?」
眉を下げて、フィリアが頷く。
よし、と意味もなく重々しく頷くと、ファノンは「やりたくねーなー」と言いながら立ち上がった。
「じゃあ、ちょっと俺の火で相殺してくるから」
「ちょ、嵐になるじゃない!」
「多少は仕方ねーだろ」
「多少ですむの!?」
冷気と熱気がぶつかりあったらどうなるか、想像に難くない。
しかもそのシリィの吹雪に対抗するだけの熱をぶつけるとなれば、生じる嵐の大きさは……あまり想像したくないものだ。
「じゃあそこで、ティニィが逆風を送ってさらに相殺を」
「結界が壊れるんじゃないかしら……」
だんだん嫌そうな顔になっていくティニィに、さもありなんと頷きながらも、まあやるしかないだろうなとファノンは考えている。
フィリアに結界を維持しておいてくれと頼むと、彼女は頷きつつも首を傾げた。なんだ。
「シリィにやめるように言えばいいんじゃないの?」
「え。声届くのか? 暴走してるだろ」
「歌なら」
こくりと頷くフィリアを、まじまじと見る。
「力」を暴走させた輩を止めるには「力」をぶつかるしかない、というのがファノンの長い人生の間に刻みこんだ常識だ。
時には「力」の行使者を殺さなくてはならない場合もある。
シリィの場合は力が飛び抜けている上に、精霊の寵愛も受けているようだから、間違って殺すようなことはないにしても、尋常じゃない被害は覚悟していたというのに。
「ノーダメージで?」
「うん。ファノとティーは結界の外に出ていてね」
マジかよ、と思ったのはファノンだけではないらしい。ティニィもフィリアをまじまじと見ていたが、まったく気負っている様子がない彼女にこれ以上の問答をぶつけるのは、なんとなく憚られた。
ノーダメージでだぞ、と念を押して、ティニィと連れ立って結界を出る。
途端に変わった空気の暖かさに、思わず息をついた。
「ファノが一番寒さに弱いわよね」
「俺が一番一般人だからなあ」
どこが、と小突いてくる拳は、見た目にそぐわずなかなかに重い。
適当にいなしながら、フィリアが失敗した時のために、とあれこれ思いを馳せていたファノンだが、唐突に消えた雪原に思わず唖然とする。
舞っていた氷と雪は言うまでもなく、地面を覆っていた白さが跡形もなく消えてしまった。
青々と広がる野原の向こう、しゃがみ込んで何事もなかったように笑いあっている銀色の一対を見やりながら、ファノンは喉の奥で「規格外」と呻いたのだった。
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