伯爵と妖精、オリジナルなど。コメント等ありましたらお気軽にどうぞv
対象年齢はなんとなく中学生以上となっております(´v`*)
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「情熱の花は~」読んできました! よかったですだいぶ安心しました(´ワ`*)
というかここを半年近く放置していたと言うことにびっくりしました。時が流れるのは早いものです……。
以下、特にネタバレでもないですが、ちょっとしたお話になります。久々に書いた! と書くたびに言っている状態ですね!
拍手ネタレベルですけども、新刊を読んだ前提で書いているので、こちらに投下しておきます。
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というかここを半年近く放置していたと言うことにびっくりしました。時が流れるのは早いものです……。
以下、特にネタバレでもないですが、ちょっとしたお話になります。久々に書いた! と書くたびに言っている状態ですね!
拍手ネタレベルですけども、新刊を読んだ前提で書いているので、こちらに投下しておきます。
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あんたたちがいっしょならいい。
ニコがぽろりと零した言葉の大きさを、リディアはしみじみと噛みしめていた。
「エドガー」
ふと顔を上げて呼びかけると、ひとつ向こうのテーブルでポールと談笑していた彼が振り向いた。
リディアと視線を合わせて、柔らかく微笑む。その表情に、リディアは心底安堵する。
エドガーを組織から取り戻した後、彼の帰還を喜んだのはもちろんリディアだけではなかった。
みんながいて、エドガーがいる。その光景は胸が熱くなるほど嬉しいものだったけれど、ときおりふと、いちいち存在を確かめたくなってしまう。
「リディア、どうしたの?」
「あ……ううん、なんでもないの。ごめんなさい、ポールさん、お話の途中で」
「そんな、構いませんよ」
呼びかけたら振り向いてくれるのだろうか。
振り向いたその顔は微笑んでいるだろうか。
自分を見る瞳は、優しく穏やかな灰紫だろうか。
そんな不安めいたものが頭をちらつくことなど彼には言えなくて、リディアは何度も曖昧に首を振っている。
ポールが不思議そうな顔をしている横で、エドガーが真摯な視線で彼女を見るものだから、少し狼狽えてしまった。
「え、と。あ、あたしもロタのところに行ってこようかしら。積み荷の中にいいお酒がないかチェックしてくるって言ってたし……」
「厨房に運ぶなら、男手があった方がいいだろう」
ちら、とエドガーがポールを見る。相変わらずの人のいい笑みを浮かべて、ポールが頷いた。
「そうですね。ずいぶん時間がかかっているみたいですし、困ってるかもしれません。僕が行ってきますよ」
「あ、ポールさん……」
「ロタに惚れ直させるチャンスだよ、ポール」
「惚れ……ロ、ロタとはそんなんじゃ」
「まだそんなことを言ってるのか?」
屈託なくポールをからかうエドガーを前に、リディアは口をつぐむ。
こうしてみると、ロンドンにいた頃に戻ったみたいで、不思議な心地になる。
ポールが扉を閉めたのを見届けると、リディアはただじっと、エドガーが自分に近づいてくるのを見ていた。
手が届きそう、と思ったところで、堪えきれなくなって立ち上がる。
そのまま広い胸にさらわれて、ぎゅっと抱きしめられた。
「リディア」
「ん……」
背中に腕を回して、胸に額をすり寄せた。
リディアから見つめる時、名を呼ぶ時、触れる時、ほんの一瞬だけ、拒絶された時の痛みがよみがえる。
怯みそうになるのを叱咤して行動に移してみれば、彼は両の手を広げて受け入れてくれるというのをわかっているのに、冷たい拒絶の記憶はなかなかリディアの身体から消えてくれない。
「抱きしめて欲しかったの?」
「……そうかも」
一瞬、間が空く。
驚いてるわ、と思いながら、リディアはしがみつく腕を強くした。
多分、今顔を上げたら口づけが降ってくる。
エドガーは顔を上げないリディアを強要することなく、柔らかな髪を梳き、露わにした耳元にキスをした。
「愛してるよ、リディア」
耳が赤くなっているのに気づいたのだろう。
笑みを含んだエドガーの声がリディアの耳朶を震わせて、彼女の心を平らかにさせていく。
ふたりがいっしょなら、なにが起きても大丈夫。
絶対的な安心感に身をゆだねて、リディアはしばし瞑目した。
ニコがぽろりと零した言葉の大きさを、リディアはしみじみと噛みしめていた。
「エドガー」
ふと顔を上げて呼びかけると、ひとつ向こうのテーブルでポールと談笑していた彼が振り向いた。
リディアと視線を合わせて、柔らかく微笑む。その表情に、リディアは心底安堵する。
エドガーを組織から取り戻した後、彼の帰還を喜んだのはもちろんリディアだけではなかった。
みんながいて、エドガーがいる。その光景は胸が熱くなるほど嬉しいものだったけれど、ときおりふと、いちいち存在を確かめたくなってしまう。
「リディア、どうしたの?」
「あ……ううん、なんでもないの。ごめんなさい、ポールさん、お話の途中で」
「そんな、構いませんよ」
呼びかけたら振り向いてくれるのだろうか。
振り向いたその顔は微笑んでいるだろうか。
自分を見る瞳は、優しく穏やかな灰紫だろうか。
そんな不安めいたものが頭をちらつくことなど彼には言えなくて、リディアは何度も曖昧に首を振っている。
ポールが不思議そうな顔をしている横で、エドガーが真摯な視線で彼女を見るものだから、少し狼狽えてしまった。
「え、と。あ、あたしもロタのところに行ってこようかしら。積み荷の中にいいお酒がないかチェックしてくるって言ってたし……」
「厨房に運ぶなら、男手があった方がいいだろう」
ちら、とエドガーがポールを見る。相変わらずの人のいい笑みを浮かべて、ポールが頷いた。
「そうですね。ずいぶん時間がかかっているみたいですし、困ってるかもしれません。僕が行ってきますよ」
「あ、ポールさん……」
「ロタに惚れ直させるチャンスだよ、ポール」
「惚れ……ロ、ロタとはそんなんじゃ」
「まだそんなことを言ってるのか?」
屈託なくポールをからかうエドガーを前に、リディアは口をつぐむ。
こうしてみると、ロンドンにいた頃に戻ったみたいで、不思議な心地になる。
ポールが扉を閉めたのを見届けると、リディアはただじっと、エドガーが自分に近づいてくるのを見ていた。
手が届きそう、と思ったところで、堪えきれなくなって立ち上がる。
そのまま広い胸にさらわれて、ぎゅっと抱きしめられた。
「リディア」
「ん……」
背中に腕を回して、胸に額をすり寄せた。
リディアから見つめる時、名を呼ぶ時、触れる時、ほんの一瞬だけ、拒絶された時の痛みがよみがえる。
怯みそうになるのを叱咤して行動に移してみれば、彼は両の手を広げて受け入れてくれるというのをわかっているのに、冷たい拒絶の記憶はなかなかリディアの身体から消えてくれない。
「抱きしめて欲しかったの?」
「……そうかも」
一瞬、間が空く。
驚いてるわ、と思いながら、リディアはしがみつく腕を強くした。
多分、今顔を上げたら口づけが降ってくる。
エドガーは顔を上げないリディアを強要することなく、柔らかな髪を梳き、露わにした耳元にキスをした。
「愛してるよ、リディア」
耳が赤くなっているのに気づいたのだろう。
笑みを含んだエドガーの声がリディアの耳朶を震わせて、彼女の心を平らかにさせていく。
ふたりがいっしょなら、なにが起きても大丈夫。
絶対的な安心感に身をゆだねて、リディアはしばし瞑目した。
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