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伯爵と妖精、オリジナルなど。コメント等ありましたらお気軽にどうぞv 対象年齢はなんとなく中学生以上となっております(´v`*)
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やっと最終巻の衝撃から立ち直った気がします(´ワ`*)
というわけで久しぶりのエドリディssですーなんてことない、短い話。


+++



 屋敷に帰り着いたのは、日付が変わってからのことだった。
 貴族院の仕事、とは名ばかりの紳士たちの会合を終えてやっと我が家に帰ってきたエドガーは、レイヴンに湯の準備を頼んでから真っ直ぐに寝室へと向かった。
 先に寝ていていいと言っておいたから、多分リディアはもう眠っているだろう。
 最近のリディアは慣れない赤ん坊の世話で疲れ気味だから、起こしてはいけないと思い、慎重に重い扉を開ける。
 分厚いカーテンは引かれておらず、ほのかな月明かりが室内を照らしている。
 リディアはベッドの片側で丸くなって眠っていた。扉からでは背中しか見えなかったから、エドガーはそっと回り込んで身を屈める。
 すうすうと聞こえる寝息は健やかで、その穏やかな表情に自然と彼の頬も緩んだ。
 レイヴンが風呂の準備を整えるまで、と思い、ベッドの傍らに膝をつく。手袋を外し、軽いタッチで柔らかな髪を撫でた。
 冷えた指先からリディアの体温が染みこんでいくようで、気持ちがいい。
 そおっと手のひら全体で頬を包み込むようにすると、微かな声を上げてリディアが目蓋を開いた。
「……エドガー」
「ただいま。ごめん、起こしちゃったね」
「ううん、おかえりなさい……」
 眠たそうにあくびをかみ殺して起き上がろうとするリディアをとどめる。
 上掛けを引っ張り上げて、子どもをあやすようにぽんぽんと肩のあたりをたたくと、彼女がぼんやりとした目で見上げてきた。
「寝ないの……?」
「たばこと酒の匂いが染みついてるから、湯を使ってから眠るよ。今日は別々の部屋の方がいいかな?」
 一緒のベッドで寝たい、という彼の願望はリディアに筒抜けなのだろう。彼女は小さく笑って、「待ってる」と呟いた。
 嬉しくなって、額にちゅっとキスをする。
「無理に起きてなくていいからね。明日の朝一番で僕にキスしてくれればいいよ」
 リディアの口元は綻んでいるけれど、目蓋はすでに閉じられてしまった。
 起こしてごめんね、ともう一度心の中で呟いて、そっと立ち上がる。
 湯を使って着替えて、早く暖かいベッドの中に入りたい。
 急いで、けれどきちんと匂いが取れるように丹念に石鹸で磨いてから、エドガーは再び寝室へと戻ってきた。
 髪を引っ張って匂いを嗅ぎ、リディアが嫌がられないかどうかチェックする。
 彼女は先ほどと同じ体勢で眠っている。上掛けをめくり上げて空いてる側のベッドに身を滑り込ませると、慣れた動作で華奢な身体を腕で囲った。
 腕に、身体の前面に、リディアの柔らかさを感じる。
 一気に眠気がやってきて、あくびをかみ殺しながらエドガーはもぞもぞと手を動かした。
 もう癖になっている動きでリディアの身体の凹凸をなぞり、ひときわ柔らかな膨らみの感触をやんわりと楽しむ。
 気持ちいいな、と浸っていると、彼女が小さく声を上げて身じろぎした。
 そっと腕の力を緩めると、リディアがもぞもぞと寝返りを打つ。エドガーの胸に額を押しつけるようにして丸くなったリディアに、エドガーは吐息で笑みを漏らした。
 改めて抱き直すと、満足そうにリディアが微笑む。
 眠っているのか、起きているのか。わからないけれど、とても幸せな気分になって、エドガーも何度か彼女の背を撫でた後で目蓋を下ろした。
 きっといい夢を見るだろう。
 腕に幸運の妖精を抱いているのだから、確実だ。

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