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最近、ゼリーの中ではゆずが一番好きです。
桃も好き。リンゴも好き。
ちょっと味が濃いめなのは、だんだん苦手になってきました(´ワ`)

そんなわけで脈絡もなく、教師と生徒パロのエドリディです。現代です。とくに教師やってるわけでも生徒やってるわけでもないですが。
連載の口直し(?)にどぞー^^*





リディアからのメールに、ぽちぽちと長めの返信を返し終わったところで、やっとタクシーが家に着いた。
もう月が高いな、と思いながら、チップ込みの適当な料金を支払う。大きな門の前でインターフォンに向かって帰宅を告げると、門がゆっくりと開き、彼を敷地内へ誘った。
疲れた。ふ、とため息をつく。
今日は一日出張で、まったくリディアの姿を見ていない。
その代わりとでも言うように、メールのやりとりはいつもよりも長く続いたけれど、それはそれで嬉しいことだけれど、やっぱり毎日顔を見て抱きしめたい。
明日の朝、早めに家を出て迎えに行こうかな、と思う。教授が出かけた頃を見計らえば、リディアもエドガーをむげにしたりはしないだろう。
出迎えたレイヴンに鞄と上着を預ける。軽く食事をとろうか、それともシャワーにしようかと思いあぐねているところで、レイヴンに「リディアさんがお待ちです」と告げられた。
「え?」
「1時間ほど前にいらっしゃいました。応接間の方でくつろいでいらっしゃいます」
「え、リディアが? 家に? 今?」
「はい」
「何かあったとか? いや、それならメールをくれるよな……リディアの様子は?」
「お元気そうです」
淡々と告げられて、エドガーはちょっと混乱する。平日の夜に、しかもエドガーが誘ったわけでもないのに、リディアがエドガーの家にいるなんて初めてだ。
無意味に着ている服をはたいて、髪を撫でつける。疲れた気分が一瞬で吹き飛んでしまった。
あとでお茶を持ってきてくれ、とレイヴンに告げて、エドガーははやる気持ちそのままに応接間に足を向けた。



こんこん、とノックをすると、中から女性らしい、可愛らしい声が聞こえてきた。
一声かけて扉を開けると、膝に置いた本から目線を上げたリディアが、エドガーを見て微笑む。
「おかえりなさい、エドガー」
「うん……ただいま」
どうしてだか、ちょっと照れくさい。
リディアの隣に腰を下ろして、そのままぎゅっと抱きしめた。
「ただいま。きみが待っていてくれるなんて、びっくりしたよ……すごく嬉しい。今日は、どうしたの?」
頬に唇を当てて、身体をちょっと離す。改めて華奢な身体を見下ろすと、リディアは私服だ。学校から一度家に戻って、それから出かけてきてくれたのだろう。
「あ、あのね。ええと、その、大した用じゃないんだけど……」
ごそごそと身じろいで、小さなバッグから出してきたのは、保冷剤と一緒に包まれたいかにも手作り、といった風情のゼリーだ。
ゆずのゼリーなの、という説明を聞きながら、思わずまじまじと見てしまう。薄い金色の底に、ピール上にしたゆずがきらきらと輝いている。こんな宝石がどこかにあった気がする、と思いながら、エドガーは相好を崩した。
「これ、わざわざ僕に?」
「あの、調理実習で作ったの。ただのゼリーだし、本当は自分で食べちゃおうかと思ったんだけど……」
「うん」
「……疲れてる時は、甘いものを食べるといいかしら、って。思って」
ああ、と納得する。今日のメールのやりとりで、エドガーは一言だけ、ついリディアに甘えてしまったのだ。
今日は少し疲れちゃったよ、と。メール越しにでもリディアに励ましてもらえれば、それだけで頑張れるから、という期待を込めて。
それが、まさかこんなふうに励ましてもらえるなんて。
「ありがとう。ごめんね、心配かけたね」
「ううん、いいの。あなた、滅多に疲れたとか言わないでしょ? ちょうど手元にゼリーがあって、あたしでも何かしてあげられると思ったから」
だから、来たの。迷惑だったかもしれないけど……ゼリー、食べちゃう前でよかったわ。
リディアの頭に頬を寄せるエドガーに、彼女はくすぐったそうに微笑んだ。
「お疲れさま、エドガー」
ゼリーをそっとテーブルに置いてから、エドガーは改めて両手でリディアの頬を挟む。額にひとつ、鼻先にひとつキスを落とし、金緑の瞳が隠されたのを確認してから、柔らかな唇を啄んだ。
リディアが苦しがるまで重ねて、つ、と離す。薄紅色の唇からしたたり落ちそうな水分をぺろりと舐めとり、むぎゅ、と抱きしめる。
「リディア、夕飯は食べた?」
「ううん、まだ……だけど」
「教授は自宅? こっちで一緒に食べようよ。迎えを寄こすから」
「父さまは、今朝から泊まりで……」
言いかけたリディアが、あ、と微かな声を上げて黙った。エドガーは聞き漏らすことなく、身体を離そうとしたリディアをさらに深く抱き寄せる。
「教授、いないの?」
「あ、ええと、あの、ええと、ニ、ニコが待ってるから…!」
「じゃあニコを呼ぼう。レイヴンも喜ぶから」
「あの、でも、明日学校だし、制服持ってないし、そもそも着替えとか、宿題とか…!」
「制服も着替えもうちにあるじゃないか。それに、今日は宿題なんて出てないだろ? 唯一宿題を出してる僕が、今日は自習の日だったんだから」
「そ……でも、父さまがいない時に、無断外泊なんて……」
「なんなら連絡しておくよ。すごい雨で雷も鳴ってて、ひとりにしておくのは不安だから、今日はうちで預かりますって」
「いつ雨が降って雷が鳴ったのよ…! 今日は一日中すごくいい天気だったのに!」
「大丈夫だよ、局地的な大雨なんて、天気予報にそうはのらないから」
そういう問題じゃない、と主張するリディアに、エドガーはこつんと額をあわせる。
「ねえ。なにも取って喰おうとしてるわけじゃないんだから」
「ほ、本当に?」
おずおずと視線を合わせてくるリディアに、もちろん、と頷きながら、エドガーはにっこりと微笑む。
「おいしくいただこうとは思ってるけど」
「は!?」
固まってしまったリディアに、ゼリーをね、とつけたす。にやにや笑いながら彼女の真っ赤な顔を眺めていると、からかわれたことに気づいたリディアが、もう! とそっぽを向いてしまった。
くすくすと笑って、髪を撫でる。振り払われないのをいいことに、指を深くまで差し込んで、地肌を撫でた。
「……泊まっていって、リディア」
ね? と耳元で囁いて、甘く耳朶を噛む。ぴくりと動いた肩と、みるみるうちに赤く染まっていく肌に、エドガーは満足げに微笑んだ。
「……明日、駅まで送ってくれる?」
「もちろん。きみの家まで、鞄を取りに行かなくちゃいけないしね」
目的地が同じなのに、リディアだけ駅に置いていくのは心苦しいけれど、教師と生徒が同じ車に乗って学校へ行くわけにもいかない。
「あと、一緒には寝ないから」
ぽそり、と付け足された言葉に、エドガーは目を丸くする。
「ええっ、そうなの? 心配しなくても、限界まで頑張るとかそんな無茶な真似はしな」
「当たり前よ! そうじゃなくて、それもあるけど、とにかく、寝ないの!」
えー、と、思わず不満げな声が漏れてしまう。きっ、とリディアに睨まれて、肩を竦めて諦めた。
週末にはデートをするのだし。今ここで機嫌を損ねて、その計画まで流れてしまうのは避けたい。
やんわりと頬を撫でて了承を伝えると、リディアの表情がほっと緩んだ。
ひとつ頷いただけで、こんなにも無防備になってしまうリディアを愛しく思う。こんなふうにあからさまな信頼を預けてくれるようになったのは、いつからのことだっただろうか。
「愛してるよ、リディア」
突然の告白に思えたのだろうか。リディアは目を瞬かせたあと、それでもやんわりと、幸せそうに微笑んだ。
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コメント
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こんばんは♪
教師と生徒は久しぶりですね~ おおぉっと一気に読ませていただきました。私、実は柚子モノ苦手なんです・・・でもちょっと食べたくなってきました>< リディアが意思を持ってエドガーのためになにかをする、ってあんまりないですよね? 無意識で、なら勝手に(?)エドガーが喜んでるのはありますけど★ エドガー大喜びは間違いなしですよね^^
あ、でもエドガー教授の予定は常にレイヴンに調査させてるのかと思ってました(笑)
楽しかったです おやすみなさい。
じゃが 2009/08/15(Sat)00:36:36 編集
こんばんはー^^*
久々の教師と生徒でした! けっこうお話作りやすいのですこの組み合わせ。楽しんでくださって何よりですv
柚子ものは苦手ですか…! かくいう私は葡萄ものが苦手です。なんかあの、濃い甘さがなんとなく、一口で良いよ^v^って気にさせます。
リディアがエドガーのこと気にかけたってだけでも、彼としては嬉しいんでしょうね(´ワ`*)平日にリディアがいるだけであのはしゃぎっぷりです。なんか切ない(笑
教授のスケジュール、私もレイヴンに調べさせているような気がしてきました(笑 今回のはきっと、イレギュラーだったんですよ…!
コメントをありがとうございましたv
【2009/08/21 07:36】
なんだか!
なんだかリディアが積極的というか、先生と生徒も萌えますね(≧▽≦)

禁断のにおいがプンプンしますよ!

でもエドガーにはそういう雰囲気もお似合いですねo(^▽^)o

これからもゆっくり頑張って下さい
メンマ 2009/08/16(Sun)20:41:30 編集
なんだか^^
教師生徒は禁断な感じですね…! うちのパロの中では一番ぴんく要素が濃いのではないかと思っています……エドガーの節操なし具合として(笑
応援のお言葉をありがとうございますv のんびり行かせて貰います(´ワ`*)
コメントをありがとうございましたv
【2009/08/21 07:38】
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