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新婚さんエドリディです^^

昨日、初めて居酒屋さんでのバイトをしてきました!
おいしそうな料理がいっぱい並ぶんですよね……じゅるり。
忘年会シーズンですが、胃と肝臓を大切に!




ぱら、と雑誌をめくる音がやけによく通って耳に聞こえる。
よく暖められた部屋には控えめな音量で音楽がかかっており、柔らかな調べがエドガーの心を慰めるようにたゆたっている。
けれど、やはり耳につくのは、ぱら、という乾いた音で、エドガーはふとため息をついた。
時計を見ると、もうすぐ午後の10時になるところだ。リディアは忘年会と銘打たれた飲み会へ行っており、まだ帰ってくる気配がない。
親しい女友達と飲むだけだから、と説得されたから、エドガーはこうして家で大人しく待っている。
結婚してからというもの、リディアがこうして夕飯を友達と食べに行くことは本当に珍しいことになった。
束縛をしているつもりはないのだけれど、結果的に彼女を家の内側に押しやっているのだったら、エドガーは自分の態度を改めなくてはいけない、と思う。
彼女はもう自分のものなのだから、余裕なく、バカみたいにリディアを囲って守る必要はもうないのだ。
リディアの細い指に結婚指輪がはまってからは、くっついてくる虫の数もだいぶ減った。
それでもゼロにならないことは腹立たしいことではあるけれど、今日はロタがしっかりガードをすると請け負っていたし、大丈夫だろう。
エドガーはまたちらりと時計を見る。席の予約は9時半までと言っていた。10時を過ぎても音沙汰がなかったら、一度連絡を入れようか。
あと数分の我慢、と、ぼんやり眺めているだけの雑誌をまたぱらりとめくる。

リン、ゴーン。

チャイムの音に顔を上げる。ちょっと期待したけれど、リディアならわざわざチャイム鳴らすことはない。
誰だこんな時間に、と、少し気分を害しながらインターホンに向かうと、聞こえてきたのはロタの声だった。
「ロタ? どうしたんだ」
「いいから開けてくれよ。リディアがもうぐでんぐでんでさあ」
眉をひそめて、ロックを外す。ついでに玄関を開けて歩いてくる二つの影を見やると、リディアはロタにもたれかかりながら、ふらふらと危なっかしい足取りで歩いていた。
靴を足にひっかけて、慌ててリディアに駆け寄る。もこもこしたコートに包まれた彼女を抱き取ると、リディアはふにゃんとエドガーの胸におさまった。
「エドガー……ただいまぁ」
「おかえり。寒いから、とりあえず中に入ろう」
「ろた、ロタも、寄ってって?」
やれやれ、と肩を竦めるロタに、リディアが手を伸ばす。きゅ、っと袖を掴んだ手をやんわり外して、ロタはにっと笑う。
「タクシーを待たせてるんだ。こんな時間にお邪魔するのもなんだし、また近いうちに遊びに行こうよ」
「うん……今日は、ありがとう」
ふにゃ、と笑うリディアを抱き上げて、エドガーは首を傾げる。
「ロタは飲まなかったのか?」
「飲んだよ。でもさめた。みんなけっこう加減考えずに飲むんだよなあ」
酔っぱらった面々を順に送り届けてきたというロタに、ロタが飲み慣れすぎてるんだ、と呆れると、彼女はそうかもね、と笑う。
「助かった」
「いいってことよ」
「あ……ろた、タクシー代……」
横抱きにされた格好で身を捩るリディアを制して、ロタに埋め合わせはまた今度、と言い切る。
外は寒いし、運転手も待っているだろう。ロタも異存はないようで、またな、とリディアに笑いかけた。
軽く手を上げて去っていくロタが門の扉から出て行くまで一応見送ってから、早足で家の中へと向かう。
暖かい空気にほっと息をつき、リビングのソファにリディアを下ろす。とろんと目蓋を落としている彼女の頬を撫でると、頬のあたりだけやけに熱を持っていた。
「気持ちい……」
そう言って、エドガーの手に重なったリディアの指先はとても冷たい。
ずいぶんと酔っているようすに、エドガーはちょっと心配になる。
「リディア、気分は? 気持ち悪くない?」
「ううん、大丈夫。ぼーっとしちゃうけど……」
いつもよりもゆっくりとした喋り方。ぽわっとした眼差し。
可愛いなあと思ったから、エドガーは彼女に顔を寄せた。
赤くなった頬に、目蓋に唇を寄せて、リディアがふにゃりと嬉しそうな笑顔を見せると、エドガーはぎゅっと彼女を抱きしめた。
抱きしめながら、マフラーやコートを脱がせていく。
「水を持ってくるよ。ちょっと酔いを覚ました方がいいな、シャワーも浴びたいだろ?」
ん、と不明瞭な声を上げるリディアから手を放そうとしたとき、ニットに包まれたしなやかな腕がエドガーの首に回った。
身を屈めさせるように引き寄せて、抱きついてくるリディアの腰を、エドガーは反射的に支える。
ますます密着した身体をはがす気になるはずもなくて、数秒逡巡したのち、結局彼はリディアを膝の上に抱え上げてソファに座った。
「どうしたのリディア。飲み会は、楽しくなかった?」
「ううん、ひさしぶりにみんなと話せたし……結婚式、以来の子も、何人かいて」
否定しながらも、その声はなんだか拗ねているようだった。
遠慮のない間柄の女同士で交わされた会話に、なにか彼女の機嫌を損ねるような内容があったのだろうか。
珍しくべったりと甘えてくるリディアの頭をやんわりと撫でると、リディアは心地よさそうに息をついた。
「浮気に、注意しなさいよ、て」
「は?」
「みんなして、そんなことばかり言うんだもの……」
肩口に額をすり寄せてくるリディアの声は、完全にふて腐れていた。
酔って幼くなっている動作と、甘えるような声音に、エドガーは悪い気はしなかったけれど、ちょっと苦笑する。
「メンバーは誰がいたんだっけ」
「ロタと…………ううん、内緒。エドガー、怒るでしょ?」
「怒らないよ」
うそ、と決めつけてくすくすと笑うリディアの酔いはまだまださめないらしい。
少しでも水を飲ませた方がいいんじゃないかな、と、明日なるであろう二日酔いを心配しながら、エドガーはリディアをやんわりと撫でる。
手のひらを滑らせるたびに、リディアの目元がふんわりと緩む。このまま眠ってしまいそうだなとも思いながら、エドガーは彼女の額に口づけた。
「ごはん、なに食べたの?」
「大したものは食べてないよ。リディアの手料理が恋しかった……けど、毎日作るのも、大変だよね」
「おいしい、って、食べてくれるから、嬉しいわ」
身じろぎをするリディアの、ふわふわの髪の毛が頬を撫でてくすぐったい。
「明日は、エドガーの好きなもの、作るわ」
「暖まるものがいいな。明日は雪が降るそうだし」
「つもるのかしら。運転、気をつけてね?」
「大丈夫だよ、距離はそんなにないし。明日は外回りの仕事もないはずだから。リディアも、出かけるんなら暖かくしていくんだよ」
「ん……明日は、買い物に行くくらい、かしら。なにか欲しいもの、ある?」
「とくには。重いものを買うなら、週末に一緒に行くから、ちょっと待ってて」
「浮気しちゃだめよ?」
「しないよ」
脈絡のない会話に苦笑して、ぎゅっとリディアを抱きしめる。髪をかき上げてこめかみをあらわにし、そこに唇を落とすと、そろりとリディアが見上げてきた。
口づけを待っている顔。エドガーは目を細めて微笑し、リディアにやんわりとキスをした。
唇を啄んで、綻んだのを見計らってそっと内部に進入する。
咥内は熱くて、なんとなくアルコールの香りが残っているような気がした。
「……お酒、くさい」
「僕は飲んでないよ」
「たばこも……」
「吸ってないって」
眉をひそめるリディアに笑うと、リディアがぺしっと彼の腕を叩いた。
「シャワー浴びる」
「もうちょっと待って。今行ったら倒れるよ?」
腕から抜け出そうとするリディアをとどめると、今までべったりとくっついていたのが嘘のように逃れたそうに身じろぎしだした。
大人しく腕の中に収まっているよりは、恥ずかしがって抵抗を示す方が見慣れたリディアの動作ではあるけれど、ちょっと面白くない。
酔いが覚めてきたのかな、と思いつつ、嫌がらせのように拘束の腕を強めると、リディアが「エドガー」と呻いた。
「どうしたの?」
意地悪そうに微笑むエドガーを、リディアはほんのり目元を赤らませて、きっと睨む。
「……お、お酒、くさい?」
向けられた視線に対して、その言葉は弱々しくて、エドガーはふと破顔した。
「いい匂いだよ」
「たばこ、とかも」
「気になるなら脱ぐ?」
酒の匂いはともかく、たばこの方は衣服についているだけだろう。
嬉々としてニットの内側に手を差し入れると、ひんやりとした感触が伝わったのかリディアが間抜けな悲鳴を上げた。
「いまの可愛い」
「な、なにするの!」
「酔いは覚めたみたいだね?」
アルコールとは違う原因でじわじわと顔を赤らめていくリディアに、にっこりと笑いかけて、腰をがっちりと抱きしめたままもう一方の手を動かした。
エドガー! と叫ぶ可愛らしい声がやみ、代わりに高らかな平手の音が響くのは、もう少し先のことである。

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無題
初めてコメントします('∀'●)
結婚したのに平手打ちされるエドガー、想像しただけで思わず笑っちゃいました!
はぐみ 2009/12/23(Wed)18:44:24 編集
Re:無題
こんにちは、覗いてくださってありがとうございますーv
結婚しても、テンパると手が出るリディアが可愛いと思います(笑
「……たたくことないんじゃないかな」「ご、ごめんなさい……!」とかやってるといいです(ぐっ
コメントをありがとうございましたv
【2009/12/29 20:18】
新鮮です
現代、そして飲み会…凄い親近感の湧くシチュで久しぶりの印象。エドが抑え気味なのもなんだか可愛くて笑えましたね~一年を通して定期的な更新ありがとうございました。もしかして学生さんなのでしょうか?様々な事との両立で多忙でしょうが、創作活動を今後も是非続けて欲しい!です。では良いお年をお迎えください。
もじゃねこ 2009/12/28(Mon)22:15:58 編集
旬のネタ(?)を使ってみました
エドガーは頑張って抑え気味にしてると笑われてしまうのですね(笑)夫婦になったんだからちょっとは貫禄を……とか思いながら悶々と我慢してるかと思うと、確かにちょっと笑えます^^
一年を振り返ってみると、よく書いたなあ……という感じです。大きなネタは結構書き尽くした感があるので、これからも単発でちょっとしたお話を書いて行けたらいいな、と!
そして私は学生です。社会人になるまでは頑張ってサイト運営続けますよー><
コメントをありがとうございましたv
【2009/12/29 20:21】
(*´艸`).:∵ブッ
初コメントですd(○・ω・○)
よっちゃったリディアもかわいいな~。・。
焦るエドガーもなかなかイイ感じデス(*´艸`)
NICE平手・゚・(●ノ∀`)ノ【笑】
(●-ω・q)...。oо 2010/01/06(Wed)13:31:15 編集
うああああ
ブログ、ちょう放置していましたごめんなさい…!!
コメントくださってありがとうございましたー! 新婚さんになって、いろいろ我慢しようと頑張りつつ我慢できてないエドガーへの贈り物は奥さんからの平手です(´ワ`)b幸せそうで何よりですねえ(●´v`●)
レス遅れてすみません…コメントありがとうございました!
【2010/03/12 00:09】
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